2025年3月6日 | ライフスタイル
より良い人生を手に入れるために「ストイシズム」を学ぼう!
ここ数年、『ストイシズム』という概念がビジネスパーソンの間でブームになっているようです。
ストイシズムとは、3000年以上も前に古代ギリシャで生まれた哲学で、その意味を要約して表現すると
『コントロールできることに集中する。負の感情に支配されるな』
ということになります。
この思想を唱えた代表的な哲学者は、セネカ(古代ローマの哲学者・政治家)、エピクテトス(奴隷出身の哲学者)、マルクス・アウレリウス(ローマ皇帝であり哲学者)であり、彼らの教えは、シリコンバレーの多くの起業家たちをはじめ、世界中の経営者、アスリートなどに影響を与えています。著名人では、起業家の故スティーブジョブスやアスリートのイチローもその一人だと言われています。
日本でも、昨年
『STOIC 人生の教科書ストイシズム』(ブリタニー・ポラット著、花塚恵訳)
というタイトルの本が刊行されました。
エリートビジネスマンや起業家など時代の波に敏感な方々の間で大きな話題になっているので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
今回はこのストイシズムという哲学がなぜこんなに話題になっているのかを考えていきたいと思います。
人生の時間は無限ではないということに気が付いていますか?
わたしは永遠ではなく、人間だ。
一時間が一日の一部であるように、全体の一部だ。
わたしは一時間として生まれ、ほかの一時間と同じように過ぎ去らねばならない。
――エピクテトス『語録』(第2巻第5章13)
私たちは、もちろん自分がやがて死を迎えなければならないことを知っています。
しかし、殆どの人間は、それがやってくるのはまだまだ大分先だろうと思い込んでいて、人生の時間のはかなさと向き合ってはいないのが実情でしょう。
なぜ、まだまだ先だろうと思い込むのか?
それは、恐らく認めたくないからです。
自分の持ち時間が誰にもわからないこと、やがて終わりが来ることを考えることに恐怖を感じるからに他なりません。
この本『STOIC 人生の教科書ストイズム』の中には「死を思え」というメッセージがとても大きく提示されています。
それは、漠然としてではなく、実感として死を思えという意味合いです。
そうすれば、誰しもの行動が自ずと変わってくるのだそうです。
確かに時間が有限だということを実感として感じることができたら、無駄な行動が減り、より必要なことに大切な時間を使うようになりそうです。
例えば、
◎意味もなくSNSを見ている時間が減る
◎ミーティングと称した無駄な飲み会に参加しなくなる
などが考えられます。そして、その時間を、自分の成長のための勉強や体力強化や集中力アップのための運動にあてたり、大切な家族との時間に費やすことができるようになるという具合です。
死を思えなどという促し方は大げさだと思われる方もいるでしょう。
しかし、自分の持ち時間を自分自身に強く意識させるには、そのくらいの大きなインパクトを心に与えないと無理なのかも知れません。
そのくらい我々の意識は、頑ななようです。
まずは、聞く耳を持ち、真実と向き合う勇気と柔軟さを身に着けることが大切。
そうすれば、きっと時間は有限だということを自覚していけるようになるのではないでしょうか。
全ては自分の判断次第だということを自覚せよ
もし外的な何かのせいで苦しんでいるのなら、あなたを悩ませているのはその何かではなく、その何かについてのあなたの判断だ。
判断であれば、自分の力で消し去ることができる。
まったく、自分の意のままにできるもののせいで苦しんでいるのなら、あなたがあなたの意見を正すことを誰が妨げるというのか?
――マルクス・アウレリウス『自省録』
このマルクスの言葉は、この本に引用されているものです。
この言葉は、全ては自分の判断次第だということを教えてくれています。
今、あなたが悩みを抱えているとして、外的なことが要因で悩んでいると思い込んでいませんか?
もしかして、その悩みの受け止め方を変えたら、つまり、その悩みについてあなたの判断を変えてみたら事態の見え方は変わってくるのではないでしょうか?
自分の心の判断は自分次第なのだということを、ストイシズムは教えてくれます。
このことを自覚することは、あなたの先の人生に光の道を示すことに他なりません。
他人の判断は変えることが出来ませんが、自分についての判断は変えることが出来ます。
自分の判断は常に自分に委ねられていますし、もしも、誤った判断をしてしまっても、それを訂正することが出来るのだと知ることはとても心強いことです。
的確な判断のために必要なもの
何かを選ばなければならないとき、決定しなけらばならないときに、自覚を持って自分で的確な判断をするには、いつでもクリアーな自分でいる必要があります。
そのためには、脳みそや心身に余計な疲労がたまっていないことが、とても大切になってくるそうです。
前述のスティーブジョブズが毎日同じ服装をしていたことはとても有名ですが、それは、脳に余計な仕事をさせないため、負担をかけないためだったと言われています。
イチロー選手が、同じメニューの食事を摂っているというのも、また同じ理由からです。
このように、理想的でクリアーな心身を手に入れるためには、不要な習慣は省いていったほうが良いことは明白です。
しかしながら、それがなかなか続けられないのもまた私たちの特性です。
それは、私たち人間が快楽に弱い動物だからに他なりません。
いま再びストイシズムの哲学を学ぶ必要性が叫ばれているのは、その快楽に弱いというう特性を持つ我々が、そのことを自覚せざる得ないフェーズに入ったからこそ、と言えるかも知れません。
このまま、我々人類が快楽主義に走って生き続けることに、自然界も警笛を鳴らし始めています。個人レベルでも、世界を俯瞰する目を持っている人こそ、将来に漠とした不安を抱え始めています。
そんな現代だからこそ、この先人の知恵が見直されているのでしょう。
負の感情に打ち勝つには?
あなたが、的確な判断を心がけ、それを修正する力を得たとしても、どうしても拭えない負の感情に支配されて、押しつぶされそうになることもあるでしょう。
例えば、日々の戦いの中で何か大きな失敗をしてしまったとき、その失敗をリカバーできずに立ち往生してしまったとき、周囲の信頼を損ねてしまうようなことがあったとき…
あなたの心には負の感情がいつまでも渦を巻いて居座ります。
これは誰しも同じで、人間は負の感情に捕らわれ、揺さぶられやすい脳を持っているのだそうです。そして、なかなかその感情を手放すことができません。
ここでは、心理学を例にして脳について考えてみましょう。
あなたは、外交的な人間ですか?それとも内向的?
通常、外交的、内向的という言葉を聞くと、社交的、非社交的、または、閉鎖的などというイメージがありますが、その解釈とは少し違って、心理学では
外交的な人→ものごとを周りのせいにする人
内向的な人→ものごとを自分のせいにする人
という考え方があるそうです。
これは、どちらがいいか悪いかではなくて、その人のタイプということです。
例えば、
外交的な人は、自分の気分が良いときには「お天気がいいから気分がいいな」と外の要因にその理由を見出しがち。
内向的な人は、気分が良いのは「自分がモーニングルーティンをうまく実行できたから気分がいいのだな」と考える傾向にあるそう。
何か良くない事件が起きた時も、外交的な人は誰かのせいにしがちで、内向的な人は自分を責めてしまいがちです。
もっとわかりやすく分けると
自分の興味が常に外側に向いている=外交的
自分の興味が常に内側に向いている=内向的
となります。
この二つの特性を知って、自分がどちらの傾向が強いかを考えてみてください。
自分のタイプとは、すなわち考え方のくせであり、思い込みです。
それを自分自身で自覚していると、何か予期せぬアクシデントが起きた時にも
「では、自分と逆のタイプだったらどう考えるのだろう?」
と、違う方向から物事をみることが出来るようになるそうです。
つまり、少しずつ自分の感情を俯瞰する力が備わって、負の感情に飲み込まれなくなっていくということが考えられるわけです。
負の感情に捕らわれていても何も良いことはありません。
この感情はとても手ごわく厄介ですから、上手に飼いならせるようにする価値は十二分にあります。
また、自分の特性を知っておけば、怒りのコントロールにも役に立つそうですから、断然生きやすくなることは間違えなさそうです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
もしもあなたが、これからの人生をもっと輝かせたいと望んでおられるなら、ストイシズムという哲学を理解し、身に着けて実践することが、理想の自分を手に入れる一助になるのではないかと思います。
少しずつ行動の無駄を省き、心身も脳みそも考え方もクリアーにしていくと、まずはあなた自身に大きな変化が起きます。
そして、あなたが変われば周囲も変わり、ビジネスはもちろん、私生活の人間関係、はたまた恋愛や家族関係においても好循環が生まれていくことでしょう。
暦の上ではもうすぐ春分です。
新たな哲学の知識と共に、どうぞ清々しい気分で新しい春を満喫してください!